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パワーコードを弾くと音がブーミーになる人へ。正しい押さえ方とミュートのコツを徹底解説

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エレキギターを始めて、最初に「気持ちいい!」と感じる瞬間の1つが、歪ませたアンプでジャーン!と鳴らすパワーコードだと思います。

バンドスコアや教則本を見ると「5」という数字が付いたコード(E5、A5など)がやたらと出てきて、しかも指2〜3本で押さえられるから、コードフォームとしては拍子抜けするくらい簡単。なのに、いざ自分で弾いてみると、なんだか輪郭がぼやけて「ボワッ」とした音になってしまう……という壁にぶつかった人、多いのではないでしょうか。

この記事では、パワーコードにまつわる疑問を1つずつ拾いながら、正しい押さえ方と、ブーミーな音を解消するミュートのコツを解説していきます。

目次

Q. パワーコードって何?普通のコードと何が違うの?

A. パワーコードとは、「ルート(root=コードの基準になる音)」と「完全5度(かんぜんごど)上の音」の2音だけで構成されたコードのことです。名前の数字(E5、A5など)の「5」は、この5度の音が入っていることを表しています。

普通のコード(メジャーコードやマイナーコード)は、ルート・3度・5度の3音以上で構成されていて、この「3度」の音があるかないかで明るい響き(メジャー)か暗い響き(マイナー)かが決まります。パワーコードには、この3度の音がそもそも入っていません。

つまりパワーコードは、メジャーでもマイナーでもない、いわば「調性を持たないコード」なんです。この性質のおかげで歪ませたときに音がぶつかりにくく、ロックやメタルの分厚いリフに欠かせないコードとして定着しています。多くのロック・メタル系のリフは、このシンプルな2音(+オクターブ上のルート)の組み合わせだけで作られている、と言われることも多いです。

Q. 基本の押さえ方を教えて。5弦ルートと6弦ルートで何が違うの?

A. パワーコードのフォームは1つ覚えてしまえば、どのフレットに移動してもそのまま使い回せます。基本は人差し指でルート音を押さえ、そこから2フレット先・1弦上の音を薬指(または小指)で押さえるという2本指の形です。

6弦ルート(低いE弦を基準にする場合)

  • 人差し指:6弦の狙ったフレット(ルート音)
  • 薬指:5弦の、人差し指から2フレット先
  • 鳴らす弦:6弦と5弦の2本だけ(+4弦で後述のオクターブ追加も可能)

5弦ルート(A弦を基準にする場合)

  • 人差し指:5弦の狙ったフレット(ルート音)
  • 薬指:4弦の、人差し指から2フレット先
  • 鳴らす弦:5弦と4弦の2本だけ

フォームとしては6弦ルートも5弦ルートも全く同じ形。基準にする弦が1本ズレるだけです。慣れてきたら、薬指の隣(2フレット先・1弦上)に小指を足して、ルート音のオクターブ上を重ねる3音フォームもよく使われます。音の厚みが欲しいときに使う、いわば”フルサイズ版”のパワーコードです。

5弦ルートのときの注意点は、人差し指の腹が自然と6弦(すぐ下の弦)に軽く触れる形になること。これは失敗ではなく、鳴らしてはいけない6弦を人差し指で軽くミュートしている状態なので、むしろ正しいフォームです。人差し指の先端だけを立てて6弦から完全に浮かせてしまうと、逆に6弦が邪魔な音を出してしまうことがあります。

Q. なぜ自分が弾くとブーミーに響いてしまうのか

A. パワーコードがブーミー(低音がこもって輪郭がぼやける音)になる原因は、ほとんどの場合「鳴らすつもりのない弦が一緒に鳴ってしまっている」ことにあります。

パワーコードは本来2〜3本の弦しか鳴らさないシンプルなコードですが、歪み(ディストーション)をかけると、ほんのわずかに触れているだけの弦や、開放のまま残っている弦の音まで増幅されて拾われてしまいます。歪みは信号を潰すことで倍音を増やす処理なので、鳴らしたい弦の音がクリアになる一方、余計な弦の小さな響きまで一緒に太くなってしまうんです。歪みが「音を分厚くする」仕組みそのものについては、サチュレーションって結局何をしているの?の記事で、信号を軽く歪ませて倍音を足す処理として解説しているので、あわせて読むと仕組みがつながりやすいと思います。

特にブーミーになりやすい原因は次の3つです。

  • 鳴らしていない低音弦が共鳴している:例えば5弦ルートを弾いているのに6弦をしっかりミュートできておらず、6弦がわずかに揺れて低音のノイズを足してしまっている
  • 歪みの量(ゲイン)が強すぎる:ゲインを上げすぎると、弦の振動だけでなくアンプのノイズや弦のわずかな揺れまで増幅されて、輪郭のない音になりやすいと言われています
  • 開放弦が響いたままになっている:コードチェンジの瞬間、押さえていた指を離したタイミングで開放弦が一瞬鳴ってしまう

つまりブーミーな音の正体は「歪みが悪い」のではなく、歪みによって、本来聴こえないはずの余計な音まで拾われてしまっていることがほとんどです。次の項目で説明するミュートを身につけると、この問題はかなり解決します。

Q. ミュートってどうやるの?(左手のミュート)

A. 左手のミュートは、パワーコードを押さえている指自体を使って、鳴らしていない隣の弦に軽く触れておくのが基本です。

先ほど紹介した5弦ルートの例で言うと、人差し指の腹をわずかに6弦へ触れさせておくことで、6弦が勝手に鳴るのを防げます。同じように、薬指(または小指)でルートより高い弦に軽く触れておくと、弾く予定のない弦をまとめて抑え込むことができます。

コツは「押さえる」のではなく「触れておくだけ」という力加減です。力を入れて押さえ込んでしまうと、その弦がフレットに接触して別の音程で鳴ってしまうことがあります。あくまで振動を止めるだけの、フェザータッチを意識してみてください。

Q. ミュートってどうやるの?(右手のミュート、ブリッジミュートとパームミュート)

A. 右手側のミュートは一般的に「パームミュート(palm muting)」と呼ばれ、ピッキングする手のひらの側面(手刀の部分)を、ブリッジの近くで弦に軽く乗せておくテクニックです。弦の振動をピッキング側からも軽く抑えることで、「ズンズン」という歯切れのいいパーカッシブな音になります。

Guitar Worldのレッスン記事でも、パームミュートはピッキングしている音を完全に消すのではなく、聴こえる範囲でわずかにミュートするのがコツと紹介されています。手のひらを強く押し付けすぎると音がほとんど出なくなり、逆に浮かせすぎるとミュートの効果がなくなってしまうので、ちょうどいい圧を探る練習が必要です。

なお「ブリッジミュート」という呼び方をされることもありますが、これはパームミュートとほぼ同じ意味で使われることが多い呼称です。手のひらをブリッジ寄りに置くことからそう呼ばれている、と考えておけば問題ありません。

練習のコツとしては、以下の順番がおすすめです。

1. ミュートなしで、パワーコードを普通に鳴らす感覚を確認する 2. 手のひらの側面をブリッジのすぐ上に軽く乗せて、音がどう変化するか確認する 3. 手のひらの位置を少しずつブリッジから離してみて、「歯切れのいい音」と「こもりすぎた音」の境目を探る 4. ちょうどいい位置が見つかったら、そこを基準にピッキングの強さを変えて音のニュアンスを練習する

Q. 歪ませたときにブーミーにならないための他のコツは?

A. ミュートを覚えたうえで、さらに次のポイントを意識すると、歪ませたパワーコードの輪郭がぐっとはっきりします。

  • ゲイン(歪みの量)を上げすぎない:太い音が欲しくて歪みを強くかけすぎると、かえって輪郭が失われてブーミーになりやすいと言われています。「これくらいでいいかな」と思うより、少し控えめな量から試すのがおすすめです
  • 極端に低いフレットで弾きすぎない:開放弦に近い低いフレットは弦の振動が緩く、もともと音がこもりやすい傾向があります。同じパワーコードでも、少し高いフレットに移動するだけで輪郭がはっきりすることがあります
  • ピッキングの位置をブリッジ寄りにする:ネック寄りでピッキングすると音が丸くこもりがちですが、ブリッジ寄りでピッキングすると音がタイトになりやすいとされています。パームミュートと組み合わせるとさらに効果的です
  • アンプ側のBASSを上げすぎない:ギター側だけでなく、アンプやアンプシミュレーターのBASS(低域)を上げすぎることも、ブーミーさの原因になりがちです。MIDやTREBLEとのバランスを見ながら調整してみてください

これらは全部「歪みが倍音を足す処理である」という前提に立った対策です。歪みそのものの仕組みについては、先ほど紹介したサチュレーションの記事でも詳しく解説しています。

Q. パワーコードの次は何を練習すればいい?

A. パワーコードのフォームとミュートに慣れてきたら、次はリズムを刻む右手の技術を鍛えるのがおすすめです。パワーコードのカッティングは、ダウンピッキングだけでなく、ダウンとアップを交互に使うオルタネイトピッキングの安定感があるかどうかで、リフ全体のノリが大きく変わってきます。

また、パワーコード中心のリズムギターに慣れてきたら、リードギターの基礎としてタッピング奏法のような、右手も使った奏法にステップアップしていくのも面白いです。パワーコードで鍛えたミュートの感覚は、こうした他の奏法でも「鳴らしたくない弦を止める」という形でそのまま活きてきます。

まとめ

パワーコードは、ルートと5度の2音(+オクターブ)だけで構成された、メジャーでもマイナーでもないシンプルなコードです。

  • 基本フォームは人差し指+薬指(or小指)の2〜3本指
  • 5弦ルート・6弦ルートは同じフォームを1本ズラすだけ
  • ブーミーな音の正体は「鳴らすつもりのない弦」が歪みで増幅されていること
  • 左手は押さえている指で隣の弦に軽く触れてミュート
  • 右手はパームミュートで、ブリッジ付近に手のひらを軽く乗せてミュート
  • ゲイン・フレット位置・ピッキング位置・アンプのBASSも輪郭に影響する

最初はフォームとミュートを同時に意識するのが難しく感じるかもしれませんが、どちらも「慣れ」の部分が大きい技術です。まずは開放弦に近いローフレットで、ミュートなし・ミュートありの音の違いをじっくり聴き比べるところから始めてみてください。

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