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タッピングで音が出ない・ノイズだらけになる人へ。ライトハンド奏法の基本フォームとミュートのコツ

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エレキギターの派手なテクニックといえば、多くの人が思い浮かべるのが「タッピング」ではないでしょうか。右手の指で直接フレットを叩いて、目にも止まらぬ速さでフレーズを駆け上がっていく、あの奏法です。

ところが、いざ自分でやってみると――

  • 右手で叩いても「コツッ」と鈍い音がするだけで、音程が鳴らない
  • なんとか音は出るけど、周りの弦がジャラジャラ鳴ってノイズだらけ
  • ゆっくりなら弾けるのに、テンポを上げると何を弾いているのか分からなくなる

こんな壁にぶつかりがちです。実はこれ、才能やセンスの問題ではなく「フォーム」と「ミュート」が整理できていないだけ、というケースがほとんどです。

この記事では、タッピング(ライトハンド奏法)の基本フォーム、よくある失敗の原因、そして一番の肝になるミュートのやり方を、段階的な練習法とあわせて初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

目次

結論:タッピングは「鳴らす技術」より「止める技術」

先に結論をお伝えしておくと、タッピングがうまく聞こえるかどうかは、次の2つでほぼ決まります。

1. 右手のタップとプリングオフ、左手のハンマリングという3つの動作を、それぞれ同じ音量で鳴らせること 2. 弾いていない弦を、両手の空いている部分で常にミュートし続けること

特に2つ目のミュートが重要です。タッピングは歪んだ音で弾くことが多く、少しでも余計な弦が振動すると一気にノイズまみれに聞こえてしまいます。「正しい音を出す」ことと同じくらい「余計な音を止める」ことに意識を向けるのが、上達の近道です。

ここから、それぞれを詳しく見ていきましょう。

タッピング(ライトハンド奏法)とは?

タッピングとは、ピッキングハンド(右手)の指、またはピックを持った手の別の指で弦をフレットに叩きつけ、その勢いで音を出す奏法のことです。「ライトハンド奏法」とも呼ばれます。

動きの正体は、左手でやっているハンマリングオン・プリングオフを右手でも行っているだけ、と考えると分かりやすいと思います。左手だけで音をつなげるレガート奏法に、右手のハンマリング/プリングを加えて音域をぐっと広げたもの、というイメージです。

このテクニックが一気に広まったきっかけは、Van Halen(ヴァン・ヘイレン)が1978年に発表した「Eruption」だと言われています。エディ・ヴァン・ヘイレンが世界で最初にタッピングを発明したわけではないものの、両手を使ってフレットボードを叩き、滝が流れ落ちるようなフレーズを生み出す手法を一般に定着させた立役者とされています。

タッピングの基本フォーム:3つの動作

タッピングのフレーズは、大きく分けて次の3つの動作の組み合わせでできています。

1. 右手のタップ

まず、どの指で叩くかを決めます。大きく2通りあります。

  • 中指または薬指で叩く:ピックを親指と人差し指で持ったまま叩けるので、ピッキングとタッピングを素早く行き来できます
  • 人差し指で叩く:ピックはいったん手のひらに握り込む形になりますが、狙いを定めやすいと感じる人が多いようです

初心者のうちは、ピックを保持したまま使える中指から始めるのがおすすめです。叩く場所はフレットのすぐ横(フレットの真上に近いあたり)。指先で弦をフレットに向かって、垂直に近い角度で軽く弾むように叩きつけます。強く押し込むのではなく、トランポリンを踏むように「叩いて即座に離れる」動きをイメージしてください。

2. プリングオフ(弦を弾く動作)

タップした指を離すときが、実は一番のポイントです。ただ指を真上に持ち上げるだけだと、弦の振動が止まってしまい、次の音が鳴りません。

正解は、指を離す瞬間に弦を軽く下方向(床側)に引っかけるように弾くこと。左手のプリングオフとまったく同じ動きです。この「弦を弾く」動作があることで、次に鳴らしたい左手の押弦の音がしっかり立ち上がります。ゆっくりのテンポではこの引っかけを意識的に、速いテンポでは音の余韻が短いため自然と軽くなっていく、という感覚です。

3. 左手のハンマリング

右手がタップとプリングを担当している間、左手は最低でも1本の指でフレットを押さえ、多くの場合もう1本の指でハンマリングオンを行います。

たとえば定番の形は、左手の人差し指で低いフレット、薬指か小指で中くらいのフレットを押さえておき、右手が高いフレットをタップする、という3点。右手をプリングオフすると薬指(または小指)で押さえた音が鳴り、その指もプリングオフすると人差し指の音が鳴る……という流れで、1つのタップから3つの音が生まれます。この3音のかたまりが、タッピングフレーズの最小単位になります。

左手のハンマリングが弱いと、この3音のうち真ん中の音だけが極端に小さくなり、フレーズがガタついて聞こえます。ハンマリングオン・プリングオフの「叩く力」と「指の独立性」は、そのままタッピングの音質にも直結します。

よくある失敗と、その原因

失敗1:タップした音が鳴らない

一番多い悩みです。原因はだいたい次のどれかです。

  • 叩く力が弱い:遠慮して軽く触れる程度だと、弦がフレットに届かず音程が出ません。最初は「少し強すぎるかな」と感じるくらいで大丈夫です
  • 叩く位置がフレットから遠い:フレットとフレットのちょうど真ん中あたりを叩くと、音がビビったり詰まったりします。フレットのすぐ横を狙いましょう
  • プリングオフで弦を弾いていない:音は一瞬鳴っても、指を離した瞬間にプツッと途切れる場合はこれ。離すときに弦を引っかける動作を足します

また、タッピングを始めたばかりの頃は右手の指先に硬さ(タコ)がなく、痛くてしっかり叩けないこともあります。左手の指が最初そうだったように、少しずつ慣らしていく必要があります。

失敗2:開放弦のノイズが鳴る

弾いていない開放弦、特に低音弦が「ブーン」と鳴ってしまうパターンです。タッピングは右手がフレットの上にあるため、通常のピッキング時のように手のひらで低音弦をミュートしづらく、開放弦が無防備になりがちです。

失敗3:弾き終わった弦が鳴り続ける(ミュートができていない)

3音のかたまりを弾いて次の弦に移ったのに、前の弦がまだ響いていて音が濁る。歪ませているとこれが特に目立ち、単音のフレーズのはずが和音のようにぼやけて聞こえてしまいます。

失敗2と3は、どちらも根っこは同じ「ミュート不足」です。次の章で対策をまとめます。

一番大事なのはミュート

タッピングの練習時間の半分は、ミュートの練習に充てるくらいの意識でちょうどいいくらいです。使うのは「両手の空いているパーツ全部」だと考えてください。

右手(ピッキングハンド)でのミュート

  • 親指を低音弦に軽く乗せる:タップする指を立てつつ、親指の側面を6弦あたりに触れさせておくと、開放弦のノイズがかなり減ります。ネックの上から親指を出す握りにすると乗せやすくなります
  • 手のひらの小指側:ブリッジ寄りではなくネック側に少し被せて、弾いていない低音弦に軽く触れさせておきます

左手(フレッティングハンド)でのミュート

  • 押弦している指の余った部分(指の腹や側面)を、鳴らしたくない隣の高音弦にそっと触れさせて寝かせておきます
  • 人差し指を少し寝かせ気味にして複数弦にまたがせておくと、高音弦側のミュートを一手に引き受けてくれます

道具に頼る方法

多くのシュレッド系ギタリストは、ナット寄りの1フレットあたりにヘアゴムや専用の「フレットラップ(ストリングミュート)」を巻いて、開放弦の共鳴を物理的に抑えていると言われています。練習段階でこれを使うのは「ズル」ではなく、まずミュートされたクリーンな状態でフォームを固めるための合理的な方法です。慣れてきたら少しずつ外していく、という進め方もあります。

コツは、どのミュートも「ぎゅっと押さえる」のではなく「触れておく」程度の力加減にすること。強く押さえすぎると、それ自体が新しいノイズの原因になると言われています。

段階的な練習法

フォームとミュートが分かったら、あとは順番を踏んで体に覚えさせるだけです。焦らず一段ずつ進めてください。

ステップ1:右手のタップ&プルだけを繰り返す

左手は1本の指で1フレットを押さえるだけにして(例:G弦5フレットを人差し指)、右手の中指でG弦の12フレットをタップ→引っかけて離す、をひたすら繰り返します。

目標は、タップした12フレットの音と、プリングオフで鳴る5フレットの音が同じくらいの音量で交互に聞こえること。メトロノームをBPM60〜70くらいの遅いテンポに設定し、まず4分音符、慣れたら8分音符、と細かくしていきます。このとき右手の親指を低音弦に乗せて、余計な弦が鳴っていないことも同時に確認します。

ステップ2:左手のハンマリングを足して「3音のかたまり」を作る

右手が安定したら、左手を2本にします。人差し指でG弦5フレット、小指で8フレットを押さえ、右手中指で12フレットをタップ。

「タップ(12F)→プリングオフで8Fが鳴る→8Fの小指もプリングオフで5Fが鳴る」という3音を、粒を揃えて鳴らすのが目標です。真ん中の8フレットの音が小さくなりやすいので、左手小指のハンマリング/プリングを少し強めに意識します。これが「Eruption」をはじめとするタッピングフレーズの基本形です。

ステップ3:定番のトリプレットフレーズに乗せる

3音のかたまりが安定したら、それを3連符(トリプレット)のリズムに乗せて連続させます。「Eruption」のタッピング部分も、1つのタップ音と2つの左手の音を3連符で回し続ける形が基本だと解説されています(参考:Guitar World – How to two-hand tap like Eddie Van Halen)。

まずは同じ弦の上で、左手の形は固定したまま、右手のタップするフレットだけを12F→13F→15F……と動かしてみてください。タップ位置を変えるだけで和音(アルペジオ)の響きが移り変わっていくのが分かるはずです。

ステップ4:弦移動とテンポアップ

最後に、弦をまたぐフレーズに挑戦します。ここでミュートの真価が問われます。次の弦に移る瞬間、前の弦を「左手の指を少し寝かせる」「右手の親指・手のひらの位置をずらす」で確実に消してから次を鳴らす、という流れを意識してください。

テンポは崩れない範囲でBPMを5〜10ずつ上げ、濁ったら1段階戻す。この地道な繰り返しが結局は一番の近道です。

レガート・スイープとあわせて覚えると効く

タッピングは単体で使うより、他の速弾き系テクニックと組み合わせることで一気に表現の幅が広がります。

  • レガート奏法:左手のハンマリング・プリングの精度が、そのままタッピングの音質に直結します。タッピングで真ん中の音が弱くなる人は、まずレガート単体を鍛え直すと改善が早いです
  • スイープピッキング:アルペジオを弾く速弾きテクニックつながり。スイープで駆け上がったフレーズの最高音を右手タップでさらに伸ばす、という組み合わせは定番です。どちらも「余計な音を止める技術」が肝、という点でも共通しています
  • オルタネイトピッキング:ピッキングとタッピングを行き来するフレーズでは、ピックを持ち替えずに中指でタップできるフォームが役立ちます。ピッキングの基礎が安定していると、タッピングとの切り替えでもたつかなくなります

まとめ

タッピング(ライトハンド奏法)は、見た目こそ派手ですが、分解すれば「右手のタップ」「プリングオフの引っかけ」「左手のハンマリング」という3つの地味な動作と、それを支えるミュートの積み重ねです。

  • タップは強めに、フレットのすぐ横を弾むように叩く
  • 指を離すときは弦を下方向に引っかけて、次の音を立ち上げる
  • 弾いていない弦は、右手の親指・手のひら、左手の余った指、必要ならヘアゴムで常に止めておく
  • 練習は「右手だけ→左手を足して3音→3連符→弦移動」の順で、遅いテンポから崩さずに

まずは1本の弦の上で、右手のタップとプリングオフだけをメトロノームでゆっくり。ここがクリーンに鳴らせるようになれば、あとは同じ理屈の積み重ねです。焦らず一段ずついきましょう。

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