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エリック・クラプトンの使用機材まとめ|Cream時代からBlackieまで、ギター・アンプ・エフェクターの変遷を辿る

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「スローハンド」の愛称で知られるエリック・クラプトン(Eric Clapton)。60年を超えるキャリアの中で、実はギターもアンプもかなり入れ替えてきたギタリストです。Creamのサイケデリックな1本から、ブルースブレイカーズ時代のレスポール、そして誰もが知る愛器「Blackie」まで。この記事では、時代ごとに機材を比較しながらクラプトンの音作りがどう変わり、何が変わらなかったのかを追ってみます。

目次

エリック・クラプトンとは

エリック・クラプトンは、1963年にYardbirdsでプロデビューし、John Mayall & the Bluesbreakers、Cream、Blind Faith、Derek and the Dominosを経てソロ活動へと進んだイギリス出身のギタリストです。ブルースを軸にロック史に残る名演を数多く残し、各種メディアの「歴代最高のギタリスト」特集では常連の存在。機材面では一つのブランドやモデルに固執しない柔軟さが特徴で、時代によって使うギターもアンプも大きく変わっています。

Cream時代(1966〜1968年):Gibson SG「The Fool」と爆音のMarshall

ギター:Gibson SG「The Fool」

Creamでの活動初期、クラプトンは1964年製のGibson SG Standardを使用していました。1967年、オランダのアートユニット「The Fool」に依頼してボディ全体をサイケデリックにペイントしてもらい、以降「The Fool」の愛称で呼ばれるようになります。1967年3月のCream初のアメリカ公演で早速お披露目され、「Sunshine of Your Love」で聴ける、太くまとわりつくような「ウーマン・トーン」を生み出した1本として知られています(参考:Guitar World)。

アンプ:Marshall JTM45/100

Cream期のクラプトンは、100WのMarshall系ヘッドを2×12キャビネット2台と組み合わせ、爆音でステージを鳴らしていたことで知られています。初期はJTM45/100(出力管KT66)、後にJTM45 Super Lead(出力管EL34)へと移行したと言われています(参考:Ground Guitar)。「Marshallをフルテンで鳴らす」スタイルは、のちのハードロック・ギタリストたちにも影響を与えたと言われています。

エフェクター:ワウの先駆者として

クラプトンは、ジミ・ヘンドリックスと並んで、ワウペダルを早くから積極的に取り入れたギタリストの一人です。「Tales of Brave Ulysses」のイントロのワウサウンドはその代表例で、当時からエフェクターは最小限、ギターとアンプの鳴りそのものを重視するスタイルが既に見えています。

ブルースブレイカーズ〜レイラ期:Gibson Les PaulとStratocaster「Brownie」への切り替え

Cream結成の少し前、1965〜66年にはJohn Mayall & the Bluesbreakersに参加し、通称「Beano」アルバムでGibson Les Paul(通称「Beanoバースト」)とMarshallコンボアンプ「Model 1962」(JTM45のコンボ仕様)を組み合わせています。「Hideaway」で聴けるトーンは「エレキギターはこう鳴るべき」という理想形として今も語り継がれ、レコーディング時にアンプを爆音で鳴らし部屋の反対側からマイキングしたというエピソードも有名です(参考:Guitar World)。

そして1967年5月、CreamでDisraeli Gearsのレコーディングに向かう直前、クラプトンはロンドンのSound Cityで中古の1956年製Fender Stratocasterを購入します。これが彼にとって初めてのStratocasterで、後に「Brownie」と名付けられました。Derek and the Dominosを結成した1970年、名盤「Layla and Other Assorted Love Songs」のほぼ全編でこのBrownieが使われ、表題曲「Layla」のあの伸びやかなトーンを生み出しています(参考:Guitar Player)。GibsonのハムバッカーからFenderのシングルコイルへ、この時期に音の核が切り替わったことが分かります。

ソロ期以降の代名詞「Blackie」とシグネチャーStratocaster

Blackie:3本のStratocasterから生まれた「雑種」ギター

1970年、クラプトンは米ナッシュビルのショップで1950年代のヴィンテージStratocasterをまとめ買いし、状態の良いパーツだけを組み合わせて1本のギターを作り上げました。クラプトン自身が「mongrel(雑種)」と呼んだこのギターが、1970年代から1985年まで彼のメインギターとして活躍した「Blackie」です(参考:Vintage Guitar)。Brownie期のシングルコイルの鳴りを土台にしつつ、より枯れた質感のトーンが特徴と言われています。

シグネチャーStratocaster:Blackieの仕様を現代に落とし込む

Blackie「引退」後、クラプトンはFenderと組んでシグネチャーモデルの開発を進め、1988年に市販モデル「Eric Clapton Stratocaster」を発表しました。Blackieのスペックをベースにしながら、Vintage Noiseless™ピックアップ、TBX™トーン回路とアクティブ・ミッドブースト、ソフトVシェイプのネックといった現代的な機能を追加。ノイズが少なくシングルコイルらしい抜けの良さも両立した1本です(参考:Fender公式サイト)。Fender Eric Clapton Stratocaster(Black)Custom Shop Eric Clapton Stratocaster(Mercedes Blue)として、現在も購入可能です。

同じくFender Stratocasterを象徴的に弾き続けてきたギタリストとしては、Pink FloydのDavid Gilmourも外せません。クラプトンが「歌うブルース」寄りのトーンを追求したのに対し、ギルモアはディレイや空間系を駆使した広がりのあるサウンドを作り上げていて、比較するとStratocasterの懐の深さがよく分かります。

アンプ遍歴:Fender Twin Reverb系からシグネチャーアンプへ

Blackie期以降、クラプトンのクリーン〜クランチトーンの土台になってきたのが、Fender Twin Reverb系のアンプです。Fender ’65 Twin Reverbのような大出力・大型スピーカー構成のアンプは、ヘッドルームが広く、歪みに頼らずギター本来の音を大きく鳴らせるのが特徴。クラプトンの「歌うトーン」を支える重要な要素になってきたと言われています。

近年のツアーではFender ’57 Custom Twin-Ampのようなハンドワイヤードのヴィンテージ復刻アンプをステージで使用していたことが伝えられているほか、名手Alexander Dumbleが手がけたカスタム仕様の「’57 Bandmaster」を2台体制(本番用とマイキング済みの予備)で運用しているとも言われています(参考:Premier Guitar)。ツマミを「すべて7」に設定したときに一番おいしい効き方をするよう、あえてDumbleに注文したというエピソードも紹介されています。

エフェクター:控えめな足元で「素の音」を追求

クラプトンの足元は、他の多くのギタリストと比べてかなりシンプルです。中心になるのはDunlop Cry Baby Classic Wah(GCB95F)で、専用の切り替えスイッチを介してワウをオンにすると同時にHammond Leslie 122XBロータリースピーカーへも信号を送り、独特の揺らぎを加える仕組みを長年使っているとされています(参考:Equipboard)。

近年の足元にはトランスペアレント系オーバードライブやMXR Dyna Compのようなコンプレッサーが追加される程度で、大掛かりなペダルボードは組みません。歪みはアンプの真空管で作り、ペダルは質感を整える脇役という位置づけです。この「アンプの歪みを主役にして、かけすぎない」考え方はサチュレーションの基本的な仕組みにも通じます。サチュレーション系プラグインも「足す」というより「気づかれない程度に質感を足す」使い方が基本になるので、興味のある人はあわせて読んでみてください。

変遷を振り返って見えてくること

こうして時代ごとに並べてみると、クラプトンの機材はギターのブランド(Gibson→Fender)もモデル(SG→Les Paul→Stratocaster)も大きく変わっています。それでも、次のような「変わらない軸」も見えてきます。

  • ブルースの手触りへのこだわり:Cream期のハムバッカーの太さも、Blackie以降のシングルコイルの枯れた質感も、根底にあるのは「歌うトーン」への意識です
  • エフェクター最小限主義:60年代からワウ以外の飛び道具にほとんど頼らず、現在もオーバードライブとコンプレッサー程度に留めているのが一貫しています
  • アンプを大きく鳴らすスタイル:Marshallの爆音時代からFender Twin Reverb系のクリーンな大音量まで、アンプ本来の鳴りを活かす姿勢は変わっていません

対照的に、同じくギターレジェンドとして知られるGuns N’ Rosesのスラッシュは、Gibson Les Paul一本でマーシャルスタックを轟音で鳴らすスタイルを一貫させていて、機材選びの方向性としてはクラプトンとは対照的。ギターもアンプも変遷を重ねながら軸をぶらさなかったクラプトンと、Les Paul+Marshallを貫いたスラッシュを見比べると、機材選びの個性の違いが浮き彫りになって面白いところです。

機材選びから学べること

クラプトンほど機材を入れ替えるのは簡単ではありませんが、彼の機材遍歴から学べることは意外とシンプルです。ギターもモデルもアンプも、時代に合わせてどんどん変えていい。ただしその中で「自分が本当に大事にしたい音の核」だけは手放さない。クラプトンの場合、それが「ブルースの歌うようなトーン」であり、エフェクターに頼りすぎない「素の音」へのこだわりでした。

まずは今持っているギターとアンプで、自分にとっての「譲れない音」がどこにあるのかをじっくり探ってみる。それが遠回りに見えて、実は一番の近道なのかもしれません。

本記事の機材情報は各種インタビュー・レビューサイトおよび公式サイトの情報を参考にしています。エリック・クラプトンの機材構成は時期によって変化するため、最新の情報は公式サイトや最新のRig Rundown記事もあわせてご確認ください。

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