スラッシュの使用機材まとめ|Guns N’ Rosesの伝説的サウンドを生むギター・アンプ・エフェクター
シルクハットにサングラス、そしてレスポールを抱えたシルエット。「Sweet Child O’ Mine」のイントロを聴けば、ギターを触ったことがない人でも誰の音か分かってしまう——それがGuns N’ Rosesのスラッシュ(Slash)です。
あの太くて艶っぽいリードトーンは、実はものすごく複雑な機材で作られているわけではありません。この記事では、スラッシュが実際に使ってきたギター・アンプ・エフェクターを、初心者の方にも分かりやすいようにまとめて紹介します。
スラッシュとは
スラッシュはイギリス生まれ、ロサンゼルスで育ったギタリストで、1985年にGuns N’ Rosesへ加入。「Appetite for Destruction」を筆頭に数々の名盤でリードギターを担当してきました。歌うようなチョーキングとワウペダルを効かせたリードプレイが持ち味で、Velvet RevolverやSlash’s Snakepit、現在のSlash featuring Myles Kennedy & The Conspiratorsなど、GN’R以外の活動でも精力的にギターを弾き続けています。
先に結論:スラッシュの主な使用機材
まずはざっくりとした全体像から見てみましょう。
| カテゴリ | 主な機材 |
|---|---|
| メインギター | Gibson Les Paul各種(Gibson Slash “Jessica” Les Paul Standardなど複数のシグネチャーモデル) |
| 手頃なシグネチャーモデル | Epiphone Slash Les Paul Standard |
| サブギター | B.C. Rich Mockingbird |
| メインアンプ | Marshall(JCM800、Silver Jubilee 2555X、シグネチャーAFD100) |
| 主なエフェクター | Dunlop Slash Signature Cry Baby Wah、MXR Slash Signature Octave Fuzz |
| 弦・ピック | Ernie Ball Power Slinky(.011-.048)、Dunlop Tortex 1.14mm(パープル) |
ここから、それぞれのカテゴリを詳しく見ていきます。
ギター:レスポール愛が生んだ数々のシグネチャーモデル
スラッシュ自身「所有するギター80〜90本のうち75%がレスポール」と語るほどの筋金入りのレスポール好きです。「一見バカげているように思えるかもしれないけど、それぞれに固有の役割があるんだ」とも述べており、単なるコレクションではなく実用として使い分けていることが伺えます(参考:MusicRadar)。
象徴的なのが「Appetite for Destruction」録音時のエピソードです。当時のスラッシュは金銭的に苦しく、スタジオ入り前にまともなギターを質に入れてしまっていたため、手元にはB.C. Rich WarlockとJacksonのアーチトップ程度しかありませんでした。マネージャーが音の良さを求めて調達したのが、ルシアーのKris Derrigが製作したレスポールのレプリカ。Seymour Duncan Alnico IIのゼブラピックアップを搭載したこのギターが、あのアルバムの象徴的なトーンを生み出したと言われています(参考:Guitar.com)。なお「My Michelle」のリズムパートには1961年製Gibson SGが使われたそうです。
現在のライブでのメインギターは、1987年に購入した2本のレスポール・スタンダードのうちの1本。ギター自体はほとんど改造せず、ポテンショメーターだけ500Kのオーディオテーパーに変更しているとのこと(参考:Seymour Duncan)。
シグネチャーモデルも豊富で、GibsonからはUSA製のSlash “Jessica” Les Paul Standardなどが登場。ピックアップにはAppetite時代のトーンを再現するために開発されたSeymour Duncan APH-2 Slashセットが使われています。もっと手軽に始めたい人には、コストを抑えたEpiphone Slash Les Paul Standardもおすすめです。
レスポール以外では、「You Could Be Mine」や「Chinese Democracy」期の楽曲でB.C. Rich Mockingbirdをステージで使用することも。V字に近い個性的なボディシェイプのギターで、レスポールとは違う攻撃的な見た目とサウンドを担当しています。
アンプ:マーシャルひとすじの漢
スラッシュのアンプ遍歴は、まさに「マーシャルの歴史そのもの」と言えるラインナップです。
「Appetite for Destruction」のレコーディングでは、レンタル会社S.I.R.から借りたMarshall Model 1959T Super Leadを使用。本来希望していた個体(Stock #39)ではなく、実際に届いたのはStock #36だったというエピソードも残っています。EL34パワーチューブとマスターボリュームを備え、Celestion 30スピーカー搭載の4×12キャビネットと組み合わせていたそうです(参考:Guitar.com)。
その後の代表的な機材がMarshall JCM800。1980年代のハードロック/メタルシーンを支えたシンプルかつ豪快な歪みが特徴のヘッドアンプです。1996年にはマーシャル25周年を記念したSilver Jubilee 2555Xがスラッシュ自身のシグネチャーモデルとして登場。JCM800よりもやや暗めで滑らかなハイゲインサウンドが持ち味で、John Frusciante(Red Hot Chili Peppers)も愛用したことで知られています。
さらに2010年には、Plexi・JCM800・Silver Jubileeのデザインを融合させた最新シグネチャー「AFD100」が登場。「#34」(Silver Jubilee期のサウンド)と「AFD」(Appetite録音時の改造Plexiを再現)という2つのモードを footswitchで切り替えられる、世界2,300台限定の特別なヘッドアンプです。現在はプレミア価格で取引されるコレクターズアイテムになっており、サウンドハウスでの取り扱いは確認できませんでした。
ちなみにライブのステージ上には見た目だけの「フェイクアンプ」が並んでいることもあり、実際の音は舞台裏のヘッドから鳴らしているのだとか。派手なスタックの裏側にはこうした裏話もあるようです(参考:Seymour Duncan)。
エフェクター:ワウを軸にしたシンプルな構成
派手なペダルボードを想像しがちですが、スラッシュのエフェクター構成は実はかなりミニマルです。
主役はやはりワウペダル。Dunlop Slash Signature Cry Baby Wahは、ホットロッド・レッドの見た目と、ハイゲインの歪み回路を組み合わせたクラシックなFaselインダクター搭載モデルです。トレッドル(踏み込み)の位置によってバリトン・ソプラノ・トレブルと3つの音色を作れるのが特徴で、レコーディング時から愛用しているDunlop Crybaby Wahの発展形とも言えます。
もう一つの代表的な機材がMXR Slash Signature Octave Fuzz。サブオクターブとオクターブアップファズを組み合わせ、うなるようなファズトーンを作れるペダルで、本人のサインが入ったデザインになっています。ギターテックのインタビューによると、ライブのペダルボードにはこのほかディレイ、コーラス、フェイザー、トレモロ、トークボックスなども載っているとのことですが、あくまで「必要最小限」の構成にとどめているそうです(参考:Seymour Duncan)。ちなみに「Appetite for Destruction」の録音時には、MXR Analog ChorusとRoland製のデジタルリバーブも使われていたと言われています(参考:Guitar.com)。
弦・ピック:地味だけど音を支える基本装備
意外と見落とされがちですが、弦やピックも音作りの重要な要素です。スラッシュは長年Ernie Ballの弦を愛用しており、ゲージは.011-.048(Power Slinky)。Ernie Ballからは本人監修のシグネチャーセットも発売されています。ピックはDunlop Tortexのパープル(1.14mm)を長年使い続けているそうで、しっかりとしたコシのある弾き心地がハードロックのピッキングに合っているのかもしれません。
まとめ
スラッシュの機材を振り返ると、基本は「レスポール+マーシャル+ワウペダル」というシンプルな組み合わせに行き着きます。時代によってアンプのモデルこそ変わっているものの、根っこにある考え方はずっと一貫しているのが印象的です。
エフェクターも決して大がかりなボードではなく、ワウとファズを軸にした最小限の構成。派手な機材を大量に揃えなくても、良いギター・良いアンプ・適切なピッキングがあれば説得力のあるロックサウンドは作れる——スラッシュの機材遍歴は、そんなことを教えてくれているのかもしれません。
本記事の機材情報は各種インタビュー・レビューサイトの情報を参考にしています。スラッシュの機材構成は時期やツアーによって変化するため、最新情報は公式インタビューや最新のRig Rundown記事もあわせてご確認ください。







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