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スラップベースができるようになりたい人へ。サム+プルの基本を徹底解説

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ベースを弾いていると、あの「バチンッ」という気持ちいい音、一度は憧れますよね。親指で弦を叩いて、指で弦を引っ掛けて鳴らす奏法――いわゆる「スラップ(Slap)」です。

ギターでいうとチョーキングやハーモニクスくらい、見た目のインパクトが強い奏法なので、「かっこいいけど自分にできるのか分からない」「そもそも何をしているのか仕組みが分からない」という人も多いはず。

この記事では、スラップ奏法にまつわる疑問を1つずつ拾いながら、サム(親指)とプル(引っ掛け)の基本を解説していきます。順番に読んでいけば、今日から何を練習すればいいかが見えてくるはずです。

目次

Q. スラップ奏法って結局どういう奏法なの?

A. 一言でいうと、親指で弦を「叩く」動きと、指で弦を「引っ掛けて弾く」動きを組み合わせて、パーカッシブ(打楽器的)な音を出す奏法です。

この奏法を生み出したとされているのが、Sly and the Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)のベーシスト、Larry Graham(ラリー・グラハム)。彼自身、この奏法を「thumpin’ and pluckin’(叩いて、弾く)」と呼んでいて、親指で叩く動きがバスドラム、指で弾く動きがスネアドラムの代わりというイメージで生み出したと語っています。Guitar World

つまりスラップは、ただの派手な奏法ではなく「ベース1本でリズム隊(ドラムのキック+スネア)を表現する」ための技術だと考えると、一気に理解しやすくなります。普段のピッキングやフィンガーピッキングが「音程を鳴らす」ことに主眼を置いているのに対して、スラップは「リズムを刻む」ことに主眼を置いている、と捉えるとイメージが掴みやすいはずです。

Q. 「サム」って具体的にどうやって弾くの?

A. サム(Thumb=親指)は、親指の側面(または関節あたり)を使って、弦をフレットに向かって叩きつける動きです。

ポイントは3つあります。

  • 叩く場所:ネックとボディの境目、だいたい最終フレット付近から、ピックアップの上あたりを狙います。ここが一番「バチンッ」という音が出やすいポイントです
  • 動きの起点:親指の力だけで叩こうとせず、手首を回転させる動きで叩くのがコツです。ドアノブを回すような、手首のスナップを利かせるイメージに近いです
  • 叩いたあとは離す:弦を押さえつけたままにせず、叩いたらすぐに弦から親指を離します。跳ね返る力を利用すると、狙った音がきれいに出ます

ギターでいうと、ピックのエッジで弦を弾く「チキンピッキン」のような、弦に対して斜めに、かつ跳ねるように当てる感覚が近いかもしれません。力任せに押し込むのではなく、弾む動きを覚えることが最初の関門です。

Q. 「プル」は何が違うの?サムとどう組み合わせるの?

A. プル(Pull)は、人差し指(または中指)を弦の下に引っ掛けて、上に向かって弾き上げる(スナップさせる)動きです。低音弦を親指で叩くのに対して、プルは主に高音弦(1〜2弦)を使うことが多いです。

弦を指に引っ掛けて、弦がフレットに軽くぶつかるくらいの勢いで弾き上げると、パチンという鋭い音が出ます。これがスネアドラムに相当する音です。

サムとプルは、単独で使うことは少なく、「サム→プル→プル」のように組み合わせてリズムパターンを作るのが基本です。最初から両方同時に練習しようとすると混乱しやすいので、次の順番がおすすめです。

1. サムだけで、一定のリズムを刻めるようにする 2. プルだけで、一定のリズムを刻めるようにする 3. ゆっくりのテンポで、サムとプルを交互に組み合わせる 4. メトロノームに合わせて、少しずつテンポを上げる

Q. 弦高(げんこう)って調整したほうがいいの?

A. 結論から言うと、すでに普通に弾けている弦高であれば、最初から無理に調整する必要はありません。ただし、本格的にスラップを続けるなら、いずれ見直す価値はあります。

弦高(弦とフレットの間の距離)が低すぎると、親指で叩いたときに弦がフレットにぶつかって「ビビり」というノイズが出やすくなります。逆に高すぎると、弦を押さえるのにも叩くのにも余計な力が必要になり、指や手首への負担が増えてしまいます。

ギターのセッティングと考え方は同じで、「低すぎず、高すぎず、自分の弾き方に合った高さ」を探るのが目的です。スラップを頻繁に弾くベーシストは、通常のフィンガーピッキングよりわずかに弦高を上げて、ビビりを抑えたセッティングにしていることが多いですが、これは好みや弾き方のクセによっても変わる部分です。自分で調整するのが不安な場合は、楽器店のリペアで「スラップも弾きたいので弦高を見てほしい」と相談してみるのが確実です。

Q. 指や親指が痛くなるんだけど、大丈夫?

A. 練習を始めたばかりの時期に、多少の痛みや張りが出るのは珍しいことではありません。 親指の側面や指先にタコ(皮膚が硬くなった部分)ができてくると、徐々に痛みは感じにくくなっていきます。

ただし、次のような場合は、痛みを我慢して練習を続けるのではなく、一度フォームを見直したほうがいいサインです。

  • 関節がズキズキと鋭く痛む
  • 練習後も痛みが長時間引かない
  • 手首や腕全体に張りが広がっている

こうした痛みが出る場合、たいてい力任せに叩きすぎているか、手首を使わず指や腕の力だけで叩こうとしていることが原因です。「叩く」というより「軽く当てて跳ね返す」意識に切り替えるだけで、負担がかなり減ります。

対策としては、1回の練習を短時間で区切って休憩を挟む、痛みが強い日は無理せず休む、といった基本的なケアも大切です。焦らず、体に負担の少ないフォームを見つけることを優先してください。

Q. 普通の弾き方を先に覚えないとダメ?練習の順番は?

A. 必須ではありませんが、基本のフィンガーピッキング(指弾き)やミュート(余計な弦の響きを止めるテクニック)がある程度できてから取り組むほうが、結果的に上達が早いことが多いです。

理由はシンプルで、スラップは「弾いていない弦の響きを止める」ミュートの技術がとても重要だからです。サムやプルの練習に気を取られていると、他の弦が鳴りっぱなしになって音が濁ってしまうことがよくあります。左手で押さえていない弦は、右手側(叩く側の手)や左手のフォームで軽く触れて響きを止める、という基礎ができていると、スラップの音もぐっとクリアになります。

とはいえ、「まずは基礎を完璧にしてから」と考えすぎて後回しにするより、基本と並行して少しずつサム・プルの単発練習を始めてしまうほうがモチベーションも続きやすいです。順番にこだわりすぎず、両方を並行して育てていくくらいの気持ちで十分です。

Q. スラップってどんな曲・どんなベーシストで使われてるの?

A. スラップ奏法の歴史を語るうえで欠かせないのが、先ほども登場したLarry Graham。Sly and the Family Stoneでの演奏をきっかけに、この奏法が世界中に広まったと言われています。Guitar World

現代の代表的なプレイヤーとしてよく名前が挙がるのが以下の2人です。

  • Flea(フリー):Red Hot Chili Peppersのベーシスト。Stevie Wonderのカバー曲「Higher Ground」や「Give It Away」など、パンク的な勢いのあるスラッププレイで知られています
  • Victor Wooten(ヴィクター・ウッテン):テクニカルなスラップの代表格。親指を上下に動かして倍速でサムを打ち込む「ダブルサム(Double Thumb)」奏法を確立した人物で、「Classical Thump」という楽曲がその代表例としてよく紹介されます

他にも、Bootsy Collins、Marcus Miller、Mark King(Level 42)など、ジャンルを問わず数多くのベーシストがスラップを自分のスタイルに取り入れてきました。ファンクやフュージョンだけでなく、ロックやポップスの曲中にも、印象的なスラップのフレーズが隠れていることが多いので、好きなアーティストの曲を「スラップが入っていないか」という視点で聴き直してみるのもおすすめです。

Q. 効率よく上達するための練習方法は?

A. 最初から難しいフレーズに挑戦するより、以下の順番で土台を作っていくのがおすすめです。

1. サム単体:開放弦(何も押さえていない状態の弦)を、一定のリズムで叩き続ける練習 2. プル単体:開放弦を、一定のリズムで弾き上げる練習 3. サム+プルの組み合わせ:ゆっくりのテンポで、「サム・プル・プル」のような簡単なパターンを繰り返す 4. メトロノームでテンポアップ:正確に刻めるようになったら、少しずつテンポを上げていく 5. 好きな曲のフレーズをコピー:基本パターンに慣れてきたら、実際の曲のスラップフレーズを真似してみる

焦って速さを求めるより、まずは「一定のリズムで、同じ音量で叩き続けられるか」を基準に練習すると、上達の土台がしっかりします。最初は3分続けるだけでも疲れると思うので、短い時間で区切りながら、毎日少しずつ触る習慣をつけていくのが一番の近道です。

まとめ

スラップ奏法は、親指で叩く「サム」と、指で弾き上げる「プル」を組み合わせて、ベース1本でリズムを刻む奏法です。

  • サムは手首のスナップを使って、弦をフレットに向かって跳ねるように叩く
  • プルは弦を指に引っ掛けて、鋭く弾き上げる
  • 弦高は無理に最初から調整しなくてOK。続けるなら見直す価値あり
  • 痛みが出るのは最初のうち自然なこと。ただし鋭い痛みはフォーム見直しのサイン
  • ミュートの基礎ができていると、スラップの音がぐっとクリアになる

見た目は派手ですが、仕組みを分解すると「叩く動き」と「弾く動き」をそれぞれ丁寧に練習していくだけのことです。まずは開放弦でのサム単体練習から、気負わずに始めてみてください。

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