マスロック入門8曲|toe・tricotからギターとリズムの面白さを見つける

マスロックを知るなら、曲の流れから入るtoe「グッドバイ」、歌のあるバンドから選ぶtricot「おちゃんせんすぅす」、ギターの手元へ注目するCovet「firebird」からどうぞ。拍子の数を当てる前に、好きな演奏を見つけるための8曲です。
変拍子、タッピング、複雑なリズム。そんな言葉を見ると、マスロックは詳しい人だけの音楽に感じるかもしれません。でも、最初から全てを説明できる必要はありません。歌が好き、ギターの音が好き、ドラムへ目が行く。そこからでも十分です。今回は日本のバンドの作品から海外の公式スタジオ演奏まで、曲ごとに追う目印を変えて紹介します。奏法の話は、音楽を聴くための手掛かりとして使ってみてください。
この記事の選曲基準
ジャンルの歴史を網羅する代表曲一覧や、演奏技術の順位ではありません。マスロックと周辺のポストロック、歌のあるインディーロックから、曲と演奏者を知りやすい正規公開を選びました。拍子やBPM、難易度を未計測の数値で示していません。具体的な奏法や編成は公式の番組・作品説明を根拠にし、自分で耳や映像を使って確かめるための聴き方と分けています。
おすすめ8曲の比較表
曲名を押すと各曲の解説へ移動します。プレーヤーが再生できない場合は「YouTubeで開く」の補助リンクをご利用ください。
| 曲・アーティスト | 聴くときの目印 | 掲載版の確認 |
|---|---|---|
| グッドバイ / Goodbye toe | 曲の流れから入る | 別の録音と区別 |
| おちゃんせんすぅす tricot | 歌のあるバンドから知る | 器楽曲だけのジャンルではない |
| Ef LITE | 器楽曲の中の役割を追う | 同じ作品の別曲へも進める |
| firebird Covet | 両手タッピングの考え方を知る | 奏法だけで曲を評価しない |
| Bubble Dream CHON | 短い一曲から入る | アルバムの四曲目 |
| If I Sit Still, Maybe I’ll Get Out of Here TTNG | 歌とギターの細かな動きを知る | 番組の奏法解説も手掛かり |
| Camp Adventure Delta Sleep | 歌と曲の構成へ関心を広げる | リフだけでなく一曲を追う |
| Chevalier Bulltoe Totorro | 別の国のバンドへ進む | 作品名は公式配信で確認 |
1. toe「グッドバイ / Goodbye」
合わせたい聴き方:曲の流れから入る
マスロックという名前は気になるけれど、拍子を数えるところから始めるのはちょっと大変。そんな人には、まずtoeの「グッドバイ」から一曲の流れを追ってみる方法があります。掲載する公式映像の説明では、『New Sentimentality e.p.』の曲として案内されています。後年の別演奏や共演版もある曲ですが、ここではこのEPに結び付く映像を入口に選びました。知っている曲名でも、どの演奏かを分けると聴き直す理由ができます。
toeはポストロックの案内で出会うこともあるバンドです。今回の記事では、音の広がりだけでなく、ギターやドラムなどの関係に関心を向けるための候補として置いています。同じ曲を違うジャンルのガイドで取り上げても、全ての分類が同じ意味になるわけではありません。分類を正解当てにするより、今日はどこへ注意を向けたいかを変えてみる。その方が、一曲を何度か楽しみやすくなりますね。
最初に聴くときは、細かな動きを全部追おうとせず、一つの楽器へ注意を向けてみます。次の回で別の楽器へ移ると、自分が前に覚えた音とどう重なるかを確かめられます。ギターが好きならギターからで大丈夫ですし、曲全体の進み方が気になれば、その印象を先に残してもかまいません。何拍子かをすぐに言えることより、「もう一度あそこへ戻りたい」と思える場所を見つけることを入口にしてみてください。
別の演奏を聴きたいときは、土岐麻子や徳澤青弦が参加するTHE FIRST TAKEなど、同名の正規パフォーマンスへ広げることもできます。ただし、いま流れている演奏の編成と、ほかの録音の出演者を混ぜて説明しないようにしたいところです。まず今日の映像を一曲として知り、そのあと版をそろえて比べる。この順番を覚えておくと、これからいろいろなバンドのライブへ寄り道するときにも役に立ちます。
toeの曲を音の広がりや作品の流れから聴き直したい場合は、ポストロック入門の曲ガイドにも別の選び方をまとめています。同じバンドが複数の場面で紹介される理由を、耳で確かめる入口になります。
楽しみ方のヒント:ポストロックの代表曲を別名で並べた記事ではありません。同じ曲でも、今回は演奏する楽器の関係へ向ける聴き方として紹介しています。
toe公式MV/『New Sentimentality e.p.』 / YouTubeで開く
2. tricot「おちゃんせんすぅす」
合わせたい聴き方:歌のあるバンドから知る
ギターの音楽へ入るときも、歌がある方が曲を覚えやすい人はいますね。tricotの「おちゃんせんすぅす」は、そういう人に選びたい一曲です。公式の公開説明では1stアルバム『T H E』からのMVと確認できます。難しい演奏だけを切り出した練習映像ではなく、バンドの曲として知る入口にしてみてください。歌を好きになってから、後ろで動く楽器へ関心が移っても、もちろんかまいません。
マスロックの紹介では、変拍子や複雑さという言葉が先に出てきがちです。でも、それだけを予習してから聴くと、歌がどんなふうに印象へ残ったかを後回しにしてしまうことがあります。最初の回は歌を追い、次の回でギターやドラムの入り方へ注意を移す方法を試してみてください。歌と伴奏を完全に別のものへ分けるのではなく、自分が追える目印を一つ持つための聴き方です。
曲名が独特だと、名前から意味や雰囲気を決めたくなるかもしれません。ここではその解釈を正解として与えるより、本人の公式映像から曲を知ることを優先しています。歌詞を長く転載して説明を埋めたり、題名だけでリズムの形を断定したりする必要はありません。気になった言葉があれば正規の歌詞表示へ戻り、演奏が気になったら別のライブを探す。興味が向いた方へ寄り道できるのが、歌のあるバンドから入る良さです。
『T H E』という作品名を一緒に覚えておくと、次に別曲を探すときも戻り先ができます。今回の八曲を通して聴いて、tricotの歌が一番残ったなら、無理に次のバンドへ急がず、同じ作品をもう少し続けてみてください。演奏の難しさを競う一覧ではないので、歌を覚えたことも立派な出会いです。そのあと楽器の音へ目が向いたら、同じ曲をもう一度聴く楽しみが増えます。
楽しみ方のヒント:掲載は2013年の作品案内を伴う公式MVです。その映像の時期と、現在のライブの編成や録音を一緒にしないように、別版では公開元の説明も確認します。
tricot公式MV/1stアルバム『T H E』 / YouTubeで開く
3. LITE「Ef」
合わせたい聴き方:器楽曲の中の役割を追う
歌の目印がない曲では、どこを追えばよいのか。そんなときの候補にLITEの「Ef」を選びました。正規配信ではアルバム『Phantasia』の収録曲と確認できます。レーベルのTransduction Recordsも、この作品を日本のインストゥルメンタル・バンドの二作目のフルアルバムとして案内しています。ボーカルのない曲を、ただの背景音楽として終わらせず、演奏の関係へ関心を向けたい人に合わせた選曲です。
聴くときは、曲を一度に理解しようとせず、何を繰り返し聞きたくなったかを残してみましょう。気になった音の並びがあれば、その部分へ戻り、ほかの音がどう入るかを次に確かめます。専門用語で全部を説明できなくても、自分が好きなところを一つ見つければ十分です。譜面がなくても曲を楽しめますし、演奏を分析したくなったら、そのあと別の時間を取って深めることもできます。
『Phantasia』には「Ghost Dance」など別の曲も入っています。すでにポストロックのガイドでその曲を聴いていた人は、同じ作品の別曲として「Ef」へ戻ると、つながりが見えます。同じバンドの全ての曲が同じ役割を持つわけではないので、一曲を知っただけで作品全体を決めつける必要はありません。先に気に入った曲と、新しく出会った曲を同じアルバムへ置き直してみるのも面白いですね。
レーベルの作品紹介には、以前の作品より暗さや幅広さを持つという説明もあります。これはアルバムの紹介であって、この一曲のどの瞬間がどう聞こえるかを全部決める言葉ではありません。まず自分の関心を持って聴き、背景を知りたくなったときに紹介文へ戻る。その順番でもよいでしょう。ジャンルの言葉に合わせた感想を急いで作るより、どの演奏を続けて聴きたいかを選んでみてください。
楽しみ方のヒント:音源を追加するときは『Phantasia』の「Ef」かを確認します。配信サービスごとの表示日が違っても、日付だけで別の録音だと決めず、作品と版を照合してみましょう。
HIP LAND MUSIC正規配信/『Phantasia』 / YouTubeで開く
4. Covet「firebird」
合わせたい聴き方:両手タッピングの考え方を知る
ギターの手元を見ながら新しい奏法へ関心を広げたい人には、Covetの「firebird」を。掲載はAudiotree Far Outの公式演奏で、シカゴのArchitectural Artifactsで収録された映像です。番組はCovetを、ギタリストで作曲家のYvette Youngが2014年に始めたバンドと紹介しています。本人の演奏へ目を向けたいときには、こうした正規の収録映像が具体的な入口になります。
Audiotreeの説明には、Youngがピアノとヴァイオリンを学び、その技術をギターへ応用してきたことや、両手のタッピングを使うスタイルが記されています。タッピングは、弦を押さえる指の動きでも音を出す奏法です。ここでは「難しい技がある」という紹介だけで終わらせず、別の楽器で学んだ考え方がギターへ入ってくることにも目を向けてみてください。ギター一本の見え方が少し変わります。
映像を見るときも、どの音をどちらの手が担当しているのかを、いきなり全部判定する必要はありません。まず一つの手の動きへ注意を向け、そのあと曲全体へ戻ってみる方法があります。手元を見る回と音楽として楽しむ回を分けてもよいでしょう。奏法を知ったことと、自分が曲を好きになったことは、つながりながらも別の話です。演奏できなければ楽しめない音楽ではないので、そこは気楽に選んで大丈夫です。
今回の「firebird」は、レーベルが公開する「falkor」の音源やプレイスルーとは別の曲です。Covetを名前から知っていた人も、同じバンドだから同じ録音と思わず、一曲ずつ覚えてみてください。Audiotreeの案内にはほかの演奏へのリンクもあり、気に入ったらその収録から続ける方法もあります。まず一曲の曲名とバンド名を覚え、もっと演奏を見たくなったときに戻れるようにしておきましょう。
ギターを弾く姿から別の演奏も知りたくなったら、アコースティック演奏の公式映像ガイドへ寄り道してみてください。楽器や編成が変わると、同じ手元を見る楽しみも違ってきます。
楽しみ方のヒント:タッピングの技術だけをバンドの価値にしていません。演奏の見た目へ興味を持ったあとも、自分が曲全体をもう一度聴きたいかを確かめてみてください。
Audiotree Far Out公式/シカゴでの演奏 / YouTubeで開く
5. CHON「Bubble Dream」
合わせたい聴き方:短い一曲から入る
長い演奏へ入る前に、短い一曲を最後まで知りたいならCHONの「Bubble Dream」を。公式公開では『Newborn Sun』の全八曲のうち四曲目と案内されています。掲載音源は三分弱なので、まず一曲を通して自分の好みを確かめやすい候補です。短いから演奏も簡単、という意味ではありません。情報を詰め込んで覚えるより、最初に好きかどうかを試す時間を小さく取れる点から選びました。
本人の公式チャンネルには、同じ曲のギター・プレイスルーも公開されています。音源を聴いて興味が出てきたら、演奏する姿へ戻る道があるのは便利ですね。先に映像を見ると手元の動きが印象へ残り、先に音を聴くと曲として好きなところを探しやすい、という違う出会い方ができます。どちらが正しいということではありません。今日は音だけ、次は演奏映像、と回を分けてみても楽しめます。
ギターの音が好きな人ほど、速い動きや細かい指使いだけを見つけたくなるかもしれません。そんなときは、一度ベースやドラムにも注意を移し、ギターが入っている間にほかの楽器が何をしているかを確かめる方法があります。今回の記事では一曲ごとの拍子や運指を採譜して示しているわけではありませんが、どの楽器を追うかという入口は作れます。全部の音を同時に理解しなくてよいのです。
一曲を気に入ったら、同じ『Newborn Sun』の前後の曲へ進めます。アルバムの四曲目として置かれていることを知ると、作品の中へ戻り直す楽しみもできますね。今回のリスト順とは違う、バンドが作品で並べた順番を聴いてみるのもおすすめです。短い入口を選んだあと、そのまま作品を広げるか、別のバンドと比べるか。自分の関心が向いた方へ進んでください。
楽しみ方のヒント:まず公式音源を掲載しています。ギターの演奏を見たくなったら本人の公式プレイスルーへ進めますが、映像を見ることを、音楽を楽しむための必須条件にはしていません。
CHON公式音源/『Newborn Sun』 / YouTubeで開く
6. TTNG「If I Sit Still, Maybe I’ll Get Out of Here」
合わせたい聴き方:歌とギターの細かな動きを知る
歌と細かなギターの両方を追いたくなったら、TTNGの公式スタジオ演奏へ。Audiotreeはバンドの紹介で、Tim Collisのタッピング、フィンガーピッキング、スペインの音楽を思わせるスタイルに言及しています。曲名は長いですが、最初から全部を覚えなくても、バンド名と一曲を結び付ければ大丈夫です。技術の名前を知ってから音へ戻る楽しみ方を、この演奏で試してみてください。
フィンガーピッキングは、ピックだけでなく指で弦を弾く奏法を指します。一方、タッピングは指が弦へ触れる動きでも音を出します。どちらもギターを弾く方法ですが、目で追うと手の役割が違うことへ気付きやすくなりますね。今回の紹介は楽曲全体の奏法を一つに決めるものではなく、番組がバンドの特徴として案内する言葉を、映像を見るための手掛かりにしています。途中で別の動きが気になったら、そこへ関心を移してかまいません。
番組は、変わったチューニングでのコードの動きや、歌、ベース、ドラムの関係も紹介しています。ギターの速さだけがこの音楽の説明ではないことが分かります。最初は歌を目印にし、次の回でギターの動きを見る。そのあと低い音やドラムへ注意を向けると、同じ演奏の中に違う楽しみ方を作れます。何回で全てを理解すると決めず、気になる楽器を一つずつ増やしていくくらいでよいでしょう。
TTNGのように歌があるバンドから入ると、器楽曲ばかりを集める場合とは別の入口ができます。tricotで歌が気になった人も、言語や演奏する人が変わったときに、自分がどこを聴きたくなるかを比べてみてください。歌の意味を調べる回も、楽器の演奏を見る回も選べます。ジャンル名の説明を一つ覚えて終わるより、好きな声と好きなギターが同じ演奏にいる一曲を見つける方が、自分の音楽のリストへ残りやすくなります。
楽しみ方のヒント:掲載はAudiotreeの演奏です。別のライブや通常録音と混ぜず、この版の演奏者の動きや声を入口に、曲そのものへ関心を広げてみてください。
Audiotree Live公式演奏 / YouTubeで開く
7. Delta Sleep「Camp Adventure」
合わせたい聴き方:歌と曲の構成へ関心を広げる
ギターのフレーズだけでなく、歌と一曲の構成にも関心が出てきたらDelta Sleepの「Camp Adventure」を。掲載は2018年8月22日にシカゴで収録されたAudiotreeの演奏です。番組はバンドについて、リフを軸にしたインディーの音楽、変拍子、オルタナティブロックの歌のメロディという要素を挙げています。技術の話だけで説明されがちな音楽へ、歌からも入れる候補として選びました。
リフは、曲の中で印象を作る短いフレーズを指すときに使われる言葉です。何となく聞き覚えが残る箇所があれば、まずそこへ戻ってみましょう。理論の名前を知らなくても、自分がもう一度聴きたいところを見つけることはできます。そこから、歌が入る場面や別の展開へどうつながるかを追うと、一部分だけを切り出す楽しみと、一曲を通して楽しむことを行き来できます。
Audiotreeの紹介では当時の作品『Ghost City』にも触れています。ただし番組の説明に出てくるアルバム名が、掲載曲の収録作品と必ずしも同じとは限りません。今回の記事も「Camp Adventure」をそのアルバムの曲として決めつけていません。別の作品へ広げる際には、その曲の収録先を改めて確かめるとよいでしょう。好きな一曲から作品へ戻るとき、こうした区別をしておくと探し直しやすくなります。
八曲を続けて聴くなら、このあたりで歌を目印にした曲と、器楽の演奏を中心にした曲を一度比べてみてもよいですね。自分は声がある方が覚えやすいのか、楽器だけの方が音を追いやすいのか。どちらかが正しい聴き方ということではありません。Delta Sleepの演奏が残ったなら、今日はここで別の曲を続ける選び方もできます。一覧を最後まで消化することより、聴きたいバンドが一組増えることを大切にしてみてください。
楽しみ方のヒント:公演の収録日と、曲や作品の発売日を同じものとして扱っていません。番組紹介に出る別アルバムと掲載曲の関係も、曲名と作品名を照合してから広げましょう。
Audiotree Live公式/2018年8月22日シカゴ収録 / YouTubeで開く
8. Totorro「Chevalier Bulltoe」
合わせたい聴き方:別の国のバンドへ進む
最後は、別のバンドと作品へ寄り道したい人にTotorroの「Chevalier Bulltoe」を。本人のBandcampでは、フランスのRennesを拠点とする名義として案内され、この曲が『Home Alone』に入っていることを確認できます。今回の八曲を国や地域の代表選手のように並べたわけではありませんが、作り手のいる場所を一つ知ると、知らなかった名前にも少し近づきやすくなりますね。
公式映像の説明には別のアルバム『Come To Mexico』の案内もあります。動画の説明欄は、その曲の情報だけでなく、後の作品や公演の告知へ更新されることがあります。そこで今回は、曲そのものの収録先を本人の配信ページでも照合しました。次に聴くなら、まず『Home Alone』の前後の曲へ戻る方法があります。別アルバムの名前が目に入ったら、そちらへ進む楽しみも作れますが、同じ作品と混同しないようにしておきましょう。
初めてのバンドの曲では、何を気に入ったかをすぐに言語化できないこともあります。ギターの音なのか、一曲の長さなのか、途中の変化なのか。はっきり決めるために何度も聴く方法もありますが、まず「また聴きたい」とだけ残しておいても十分です。音楽の分類を詳しく説明できることと、その曲を好きになることは別。今回のリストでは、後者から始められるように短めの曲も長い演奏も混ぜています。
Totorroが気に入った人は、toeやLITEに戻って同じ一覧の中で違いを比べてもよいですし、『Home Alone』を続けて聴いてもかまいません。ギターの技を見たい日、歌のある曲へ戻りたい日、器楽曲を一つの作品で楽しみたい日。それぞれで選ぶ曲が違ってもよいのです。マスロック入門という言葉を、全ての曲を同じように聴くための規則にせず、自分の好きなバンドを探すきっかけにしてみてください。
楽しみ方のヒント:今回の収録作品案内は『Home Alone』です。映像の説明に出る別作品の宣伝と区別し、曲名から本人の配信ページへ戻れるようにしています。
Totorro公式映像/『Home Alone』収録曲 / YouTubeで開く
マスロックを、変拍子だけで説明しない
マスロックという名前を見たとき、最初に変拍子を探そうとする人もいるかもしれません。変拍子は手掛かりの一つになりますが、それだけが曲の面白さを決めるわけではありません。ギターとドラムの関係、歌を支える演奏、音型の組み合わせ、曲が別の場面へ移るところなど、自分が気になるものを一つ選んでみましょう。数え方を覚えてから聴く順番でなくてもかまいません。
今回のTTNGやCovetは、公式の番組説明に具体的な奏法の案内があります。先にその言葉を知ることで、映像のどこへ注意を向けるかを決められます。ただし、奏法の名前を知っただけで全ての音の仕組みが分かるわけではありません。いきなり採譜やコピーへ進まず、曲として好きかを先に確かめてもよいですね。ギターを弾かない人も、手元の動きと音楽を行き来して楽しめます。
歌を目印にする回と、楽器を追う回を分けてみる
歌のあるtricotやTTNG、Delta Sleepから入ると、声が曲を覚える目印になります。器楽曲を中心に聴く場合は、気になった楽器の音を同じような目印にしてみてください。別の楽器を次の回で追うと、前に覚えた音との関係を比べられます。一回の再生で全パートを理解しようとするより、何を聴くかを少し変える方法です。気になる場所が増えると、一曲を聴き直す理由も増えます。
演奏映像がある曲では、先に音を聴くか、先に手元を見るかでも入り方が変わります。手の動きに気を取られる日は音だけで、どんな楽器が鳴っているか気になる日は映像で、という使い分けもできます。どちらか一方が深い鑑賞という話ではありません。自分が楽しく注意を向けられる方を選んでよいのです。情報を足すための動画ではなく、演奏する人へ近づくための入口として使ってみましょう。
一曲のあとに、同じ作品か別のバンドを選ぶ
最初に気に入った曲ができたら、次は同じ作品の別曲へ進むか、今回の一覧の別のバンドと比べるかを決めます。LITEの『Phantasia』やCHONの『Newborn Sun』のように収録先が確認できる曲なら、作品の本来の順番へ戻る楽しみ方もできます。ライブから好きになった場合は、その演奏の録音へ戻れるよう公開元も覚えておきましょう。曲名だけでは、別の版が先に出てくることもあります。
次の一曲で何を聴くかは、前の曲で残った興味から決めます。ギターの動きが気になったなら演奏映像へ、歌が残ったなら同じ声の別曲へ。分類の名前を増やすより、好きな曲と人の名前を一つずつ残す方が、自分の音楽として育っていきます。全部を理解してから好きにならなくてよいですね。まずは、もう一度戻りたい一曲を選んでみてください。
よくある質問
変拍子が分からなくても楽しめますか?
歌やギターの音、ドラムなど気になる目印から聴けます。本記事は拍子を当てる練習や理論の試験ではありません。数え方が気になったら、好きな一曲ができたあとで調べてもかまいません。
ポストロックとマスロックは別々の音楽ですか?
紹介されるバンドや作品が重なることがあります。本記事では演奏の組み合わせや奏法へ関心を向け、ポストロックの記事では曲の流れや音の広がりから選ぶなど、入口を分けています。境界を一つに固定する説明ではありません。
タッピングができないと、この音楽は分かりませんか?
演奏できることは楽しむ条件ではありません。公式の奏法説明は映像を見る手掛かりとして使えます。まず曲を好きになり、手元にも興味が出てきたら見直すという順番で大丈夫です。
次に読みたい音楽ガイド
参照した公式情報・音源について
各曲の動画タイトル・公開元・紹介する版を公式動画と以下の情報で照合しています。確認日:2026/10/30。試聴や比較の方法は編集上の提案であり、実測した音域・効果・人気順位を示すものではありません。動画の公開状況や再生条件は地域・時期により変わる場合があります。
- toe「グッドバイ / Goodbye」公式情報
- tricot「おちゃんせんすぅす」公式情報
- LITE「Ef」公式情報
- Covet「firebird」公式情報
- CHON「Bubble Dream」公式情報
- TTNG「If I Sit Still, Maybe I’ll Get Out of Here」公式情報
- Delta Sleep「Camp Adventure」公式情報
- Totorro「Chevalier Bulltoe」公式情報
- LITE・レーベルによるPhantasia作品紹介
- Totorro本人・Chevalier Bulltoeの収録作品
- CHON公式・ギタープレイスルー
- toe・土岐麻子と徳澤青弦の参加版







