ToneX Boardが気になるギタリストへ。ToneXシリーズ4製品を徹底比較して選び方を解説

2026年9月3日、IK Multimediaからついに新しいToneXシリーズの機材「ToneX Board」が発売されました。「5インチのタッチスクリーンを搭載したフロア型」と聞いて、「うちにあるToneX Pedalと何が違うんだろう」「そもそもToneXって種類が多すぎて、自分にどれが合うのか分からない」と感じた人も多いんじゃないでしょうか。


実はToneXシリーズ、ソフトウェアだけで完結するものからフルサイズのフロア機材まで、フォームファクタも価格帯も想定用途もかなり幅があります。ギターアンプで例えるなら、「部屋で使う小型プラクティスアンプ」から「ライブハウスのメインを張るフルスタック」まで一気にラインナップされているようなものです。この記事では、新発売のToneX Boardの特徴を整理しつつ、ToneX(ソフトウェア版)・ToneX One+・ToneX Pedal・ToneX Boardの4製品を比較して、「結局自分はどれを選べばいいのか」が分かるように解説していきます。


ToneX Boardってどんな機材?まずは特徴をチェック
ToneX Boardは、IK Multimediaの「AI Machine Modeling」技術を使ってアンプやキャビネット、エフェクターの音をそっくりそのまま再現する、フロア設置型のマルチエフェクトプロセッサーです。公式サイトによると、主な特徴は次のとおりです。
- 2,000種類のプレミアムTone Model(実機のアンプ・キャビネット・エフェクターの音をまるごとキャプチャしたデータ)を内蔵
- AmpliTube由来51個・ToneX由来15個・新規10個、合計76種類のエフェクトを搭載し、12スロットで自由にルーティングできる
- 5インチのカラータッチスクリーンと6個のプッシュ回転式エンコーダーで直感的に操作できる
- footswitchはA・B・C・CTRLの4つ。プリセット切り替えだけでなく、シーンモードやストンプモードにも対応
- デュアル信号経路を搭載していて、最大4つのTone Modelを同時に鳴らせる(デュアルアンプ構成、ウェット/ドライ、ステレオ構成などが可能)
- プリセットスロットは1,440個も用意されている
- デュアルTRSソケットで外部エクスプレッションペダルやフットスイッチ、外部アンプのコントロールにも対応。従来のアンプと組み合わせる「4ケーブルメソッド」にも対応
- I/Oはステレオ出力用のXLR×2、TRS出力×2、ヘッドフォン出力、MIDI、USB-C(2026年10月1日にはオーディオインターフェース機能も追加予定とされている)
価格は公式サイトによると$/€999.99(税別)とされていて、Neural DSPのQuad CortexやLine 6のHelix Stadium、Fender Tone Master Proといった「プロ向けフロア型モデラー」と近い価格帯に位置づけられています。ギターの世界で言うと、いきなり「バンドのメインを張るマルチスタックアンプ」を買うようなイメージに近いかもしれません。
そもそもToneXシリーズって何がどう違うの?
「ToneX」という名前がついた製品は、今回のBoardを含めて大きく4種類あります。まずは全体像をざっくり掴んでおきましょう。
- ToneX(ソフトウェア版): PCやMacにインストールして使うプラグイン/スタンドアロンアプリ。DAWの中で完結する宅録派向け
- ToneX One+: 手のひらサイズのコンパクトペダル。ペダルボードの隙間にも置きやすい
- ToneX Pedal: フルサイズのペダル型。ディスプレイとfootswitch3個を搭載した「単体でライブに持ち出せる」タイプ
- ToneX Board: 今回発売された、タッチスクリーンと4つのfootswitchを備えたフロア型の最上位モデル
どれも中身のAI Machine Modeling技術(実機のアンプやペダルの音をAIが学習して再現する仕組み)は共通ですが、「どこまで単体で完結できるか」「ライブでどこまで自由度の高い操作ができるか」が段階的に変わっていくイメージで捉えると分かりやすいです。
4製品を比較表で一気に整理
細かい違いを言葉だけで説明するより、表で並べたほうが分かりやすいと思うので比較表にまとめました。数値や仕様は執筆時点(2026年9月)の公式サイト・各種メディアの情報をもとにしていて、断定できない部分は「〜とされている」という表記にしています。
| 項目 | ToneX(ソフトウェア版) | ToneX One+ | ToneX Pedal | ToneX Board |
|---|---|---|---|---|
| フォームファクタ | PCプラグイン/スタンドアロンアプリ | 超小型ペダル | フルサイズペダル | フロア型マルチプロセッサー |
| footswitch数 | ー(PC上で操作) | 1(A/B切替またはストンプ切替) | 3(A/B/C、バンク切替対応) | 4(A/B/C/CTRL) |
| ディスプレイ | PC画面上に表示 | なし(マルチカラーLEDで代用) | あり(16セグメント×8文字) | あり(5インチカラータッチスクリーン) |
| 外部エクスプレッションペダル | 非対応(MIDI経由が基本) | 明記なし(非対応の可能性が高い) | 対応(EXT. CONTROL端子) | 対応(デュアルTRSソケット) |
| スタンドアロン動作 | PC/Mac必須(無料版Player CSはスタンドアロン動作) | 可能(9V DC電源でも駆動可とされている) | 可能 | 可能 |
| プリセット数 | Max版で1,000 Tone Model | 20 Tone Model | 150 | 1,440 |
| 価格帯(目安) | 無料〜$299.99 | $249.99とされている | $329.99とされている | $999.99とされている |
| 想定用途 | 宅録・DTM中心 | 宅録+ミニマルなライブ運用 | 宅録+本格的なライブ運用 | ライブ・レコーディング両対応のメイン機材 |
比較ポイントを一つずつ深掘りしてみる
フォームファクタとfootswitch数
フォームファクタで見ると、ソフト版→One+→Pedal→Boardの順に、本体もfootswitchの数もどんどん大きくなっていく流れになっています。footswitchの数は、ライブ中にどれだけ複雑な切り替えができるかに直結するポイントです。One+はfootswitchが1個なので、基本はオン/オフかA/B切り替えのシンプルな運用向け。Pedalは3個あるので、バンク単位でのプリセット切り替えがしやすくなります。Boardは4個(A・B・C・CTRL)あり、プリセットモードだけでなくシーンモードやストンプモードにも対応しているので、ギターのエフェクターボードをまるごと1台に置き換えるような使い方ができます。
ディスプレイの有無
地味に体感差が大きいのがディスプレイです。ソフト版はPC画面がそのままディスプレイになりますが、One+はディスプレイを持たず、マルチカラーLEDで選択中のプリセットを示す方式になっています。Pedalは16セグメント×8文字のディスプレイを搭載していて、Tone Model名やパラメーターを文字で確認可能。Boardは5インチのカラータッチスクリーンなので、今どのアンプ・エフェクトが鳴っているのかを一目で確認しながら、画面をタップして直接エディットすることもできます。ライブ中に「今どの音が出ているか」を目で見て確認したい人ほど、ディスプレイ付きのPedalかBoardのほうが安心して使えるはずです。
外部エクスプレッションペダル対応
ワウやボリュームペダルのような外部エクスプレッションペダルを接続できるかどうかも重要なチェックポイントです。公式サイトによると、Pedalは「EXT. CONTROL端子」で外部エクスプレッションペダルやフットスイッチに対応、Boardは「デュアルTRSソケット」で外部エクスプレッションペダル・フットスイッチ・外部アンプのコントロールに対応しています。One+については公式ページ上に明確な記載が見当たらず、コンパクトさを優先した設計であることを踏まえると非対応の可能性が高いと考えられます(購入前に公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします)。ソフト版はそもそもPC上での操作が前提なので、外部ペダルを使う場合はMIDIコントローラー経由でのアサインが基本になります。
スタンドアロン動作
「PCなしで単体で音が出せるか」も、ライブ向きかどうかを判断する大きな分かれ目です。One+・Pedal・Boardはいずれも単体で動作可能(One+は9V DC電源でも駆動できるとされています)。一方でソフトウェア版のToneXは基本的にPC/Macが必須ですが、無料版の「TONEX Player CS」はスタンドアロンアプリとしても動作し、40種類のプレミアムTone Modelに加えて、6万種類以上あるユーザー投稿サイト「ToneNET」のTone Modelのうち20個までを無料でダウンロードして使うことができます。まずは無料でどんな音がするのか試してみたい、という人にはこのPlayer CSがちょうどいい入り口になりそうです。
価格帯
価格帯を見ると、ソフト版は無料〜$299.99(TONEX MAX)、One+が$249.99とされている、Pedalが$329.99とされている(セール時は$100引きになっていることもあるようです)、そしてBoardが$999.99とされている、という並びになっています。One+とPedalは価格差が意外と小さいので、「コンパクトさ重視ならOne+、ディスプレイと拡張性重視ならPedal」という選び方になりそうです。Boardだけ価格帯が大きくジャンプしていて、ここは「ライブのメイン機材を1台に集約したい人」向けの投資額として考えたほうがよさそうです。
想定用途(宅録/ライブ/両対応)
最後に想定用途です。ソフト版は基本的に宅録・DTM用途がメイン。One+は宅録でも使えつつ、コンパクトさを活かして「ちょっとしたライブや弾き語り」にも持ち出しやすいポジションです。Pedalは本格的なライブ運用を見据えた、ペダルボード常設タイプ。Boardは、ギターアンプで例えるなら「レコーディングスタジオに置く据え置きのアンプヘッド」のような立ち位置で、宅録からライブのメイン機材まで一台で完結させたい人向けの製品と言えそうです。
結局、どれを選べばいいの?タイプ別のおすすめ
ここまでの内容を踏まえて、タイプ別にどれが合いそうかをまとめてみました。
- とりあえずToneXの音を試してみたい人: 無料の「TONEX Player CS」からスタートするのがおすすめ
- 宅録がメインでDAWに組み込みたい人: ソフトウェア版のToneX(または上位版のToneX MAX)
- ペダルボードの隙間に収めたい・荷物を減らしたい人: ToneX One+
- 単体で持ち出せて、ディスプレイで音を確認しながらライブしたい人: ToneX Pedal
- ライブのメイン機材として1台に全部まとめたい・複雑なルーティングを組みたい人: ToneX Board
ちなみに、IK Multimedia以外のアンプシミュレーターも気になるという人は、Antelope Audioのネイティブ・アンプシミュレーター「V-AMP」を紹介した記事も参考になるはずです。他メーカーの製品と比べてみると、ToneXシリーズの立ち位置がより分かりやすくなると思います。
IK MULTIMEDIA ( アイケーマルチメディア ) / TONEX Board (soundhouse)
参考動画:実機の操作感が気になる人はこちらも
実機の操作感が気になる人は、YouTubeにアップされている「TONEX Board / IK MULTIMEDIA徹底解説」という動画も参考になります。IK Multimediaとのタイアップ(プロモーションを含む)動画ではありますが、Boardの製品解説がまとめられているので、購入前のイメージづくりに役立つはずです。動画の内容を鵜呑みにせず、気になる操作感は実店舗や公式サイトのデモ映像でもあわせてチェックしてみてください。
まとめ
ToneXシリーズは、ソフトウェア版からOne+、Pedal、そして今回のBoardまで、footswitch数・ディスプレイの有無・外部エクスプレッションペダル対応・スタンドアロン動作可否・価格帯が段階的に広がっていくラインナップになっています。「とりあえず音を試したい」なら無料版、「宅録がメイン」ならソフトウェア版、「身軽に持ち出したい」ならOne+、「単体でライブ運用したい」ならPedal、「メイン機材を1台に集約したい」ならBoard、というふうに、自分の使い方に当てはめて選んでみてください。
IK Multimediaのアンプシミュレーター関連では、TOTAL Guitar MAXのレビュー記事でもTONEX SEを含むバンドル内容に触れているので、ソフトウェア側からじっくり検討したい人はあわせてチェックしてみてください。それぞれの製品を実際に試せる環境がある人は、ToneX(ソフトウェア版)、ToneX One+、ToneX Pedalの公式ページも見比べてから決めるのがおすすめです。







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