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スラッシュメタルって結局何なの?聴くべき名盤とあわせて解説

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「スラッシュメタル」という言葉、メタル好きなら一度は耳にしたことがあると思います。とにかく速い、とにかく歪んでいる、ボーカルは叫んでいる……くらいのイメージはあるけど、ハードロックやパンクとの違いを説明しようとすると意外と言葉に詰まる。しかも調べてみると「イギリス発祥」と書いてある記事もあれば「アメリカ発祥」と書いてある記事もあって、余計にややこしくなってきます。

この記事では、スラッシュメタルというジャンルがどこでどう生まれて、どんな特徴を持っているのかを整理したうえで、「とりあえずこれだけ聴いておけば背骨は掴める」という名盤を紹介していきます。いわゆる「Big 4」と呼ばれる4バンドを中心に据えているので、これから聴き始める人はもちろん、名前は知っているけどちゃんと聴いたことがないという人にもおすすめです。

目次

スラッシュメタルを知るならこれだけ聴いておけばOK!名盤4選

先に結論から。スラッシュメタルの背骨を掴みたいなら、以下の4枚を聴くのが一番の近道です。どれも「Big 4」と呼ばれるアメリカの代表的スラッシュメタルバンド、Metallica・Slayer・Megadeth・Anthraxの代表作で、ジャンルの歴史を語るうえで避けて通れない作品ばかりです。

バンドアルバム発売年ひとことポイント
Metallica『Master of Puppets』1986年スラッシュメタルを様式美にまで高めた金字塔。緻密な構成美が魅力
Slayer『Reign in Blood』1986年全10曲29分の暴力性。ジャンル最速・最凶と名高い一枚
Megadeth『Rust in Peace』1990年テクニカルな演奏の応酬。ギタリストの超絶技巧を聴くならここ
Anthrax『Among the Living』1987年ノリの良いグルーヴとパンク由来のエネルギーが同居する一枚

この4枚を聴けば、スラッシュメタルという括りの中にどれだけ幅があるかが体感できるはずです。次の章から、まずはスラッシュメタルというジャンルそのものの成り立ちを整理していきます。

そもそもスラッシュメタルってどんなジャンル?成り立ちと特徴

イギリスのNWOBHMとアメリカのハードコアパンクが合流した音楽

スラッシュメタルは、1970年代末〜1980年代初頭にイギリスで巻き起こった「NWOBHM(ニューウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)」の影響と、アメリカのハードコアパンクの影響が合流して生まれたジャンルです。NWOBHM側からはVenomやMotörheadのような攻撃的なバンドの疾走感、パンク側からはDischargeやMinor Threatのような性急なリズムとDIY精神が持ち込まれ、それらがヘヴィメタルの様式と混ざり合うことで、1983年ごろまでには「ハードコアとメタルを融合させたジャンル」としての輪郭がはっきりしてきます。

誕生のきっかけには諸説ありますが、Metallicaがコンピレーションアルバム『Metal Massacre』(1981年)に「Hit the Lights」を提供したことを起点とする見方がよく挙げられます。

アメリカ西海岸「ベイエリア」で花開いたシーン

スラッシュメタルが一大ジャンルとして花開いたのは、アメリカ西海岸・サンフランシスコ周辺の「ベイエリア」と呼ばれる地域でした。1980年代初頭のベイエリアには、後にMetallicaへ加入するギタリスト、カーク・ハメットがそれ以前に結成していたExodusや、後にTestamentとなるLegacyなど、シーンの土台を支えたバンドが数多く存在しました。この時期のベイエリア勢は、いずれもNWOBHMや初期パンク・ロックからの影響を色濃く受けているのが特徴です。

Kirk Hammettがどんなギター・アンプ・エフェクターを使ってあの轟音を鳴らしているか気になった人は、カーク・ハメットの使用機材まとめで詳しく紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。

「Big 4」の確立とジャンルの広がり

ベイエリア発のMetallica・Slayer・Megadeth・Anthrax(Megadethは結成の経緯からロサンゼルス色も強いバンドです)は、1980年代を通じてそれぞれ独自の方向性でスラッシュメタルを進化させ、後に「Big 4」と呼ばれるようになります。2010年代以降は共演イベントも開催されるようになり、この呼び名は今やジャンルを代表する固有名詞として定着しています。

ちなみに1990年代に入ると、スラッシュメタルの攻撃性やディストーションサウンドは、シアトル発のグランジのような別のロック/メタル系ジャンルとも地続きの空気感を持つようになっていきます。時代的に隣接するジャンルとして聴き比べてみるのも面白いです。

演奏面の特徴:高速ピッキング・パワーコード・シャウトボーカル

スラッシュメタルを音楽的に特徴づけている要素は、大きく3つに整理できます。

  • 高速のオルタネイトピッキング:ダウンとアップを目まぐるしく往復させる速弾きリフが基本。曲によってはBPM200近くまで駆け抜けます
  • パワーコード中心の刻み:ルートと5度だけで構成されたシンプルな和音を、高速かつタイトに刻み続けることで攻撃性を生み出します
  • シャウト気味のボーカル:クリーンに歌い上げるというより、叫ぶ・吐き出すように歌うスタイルが主流。歌詞のテーマも戦争・宗教・社会批判など攻撃的なものが多い傾向にあります

このギリギリまで歪ませたギターサウンドがどう作られているのか気になった人は、サチュレーションって結局何をしているの?の記事でギターの歪みに例えながら仕組みを解説しているので、DTMで再現してみたい人はあわせてどうぞ。

名盤を1枚ずつ深掘りしてみる

ここからは、先ほど紹介したBig 4の名盤を1枚ずつ掘り下げていきます。それぞれ「なぜ重要なのか」「何を聴けばそのアルバムの凄さが分かるのか」を意識してまとめました。

Metallica『Master of Puppets』(1986)

1986年3月3日発売、Metallicaの3rdアルバム。「Battery」「Master of Puppets」「Welcome Home (Sanitarium)」「Disposable Heroes」「Leper Messiah」など、8分近い大曲を含みながらも一切ダレない構成力が最大の魅力です。ベーシストのクリフ・バートンが在籍した最後のアルバムでもあり、メジャーレーベル移籍後初の作品という節目でもありました。

単なる速さや荒々しさだけでなく、曲展開の緻密さと様式美でスラッシュメタルを一段引き上げた一枚として、今なおジャンルの最高傑作の一つに挙げられています。

Slayer『Reign in Blood』(1986)

1986年10月20日発売、Slayerの3rdアルバム。全10曲でトータル29分というコンパクトさながら、オープニングの「Angel of Death」から最終曲「Raining Blood」まで、一切息をつかせない密度で駆け抜けます。「Raining Blood」はエンディングがロックド・グルーヴ(針が飛び続けるような無限ループ仕様)になっているという遊び心も見どころです。

――個人的には、スラッシュメタルの「速さ・攻撃性・容赦のなさ」という側面を突き詰めた頂点がこの一枚だと思っています。プロデューサーにリック・ルービンを迎え、無駄を削ぎ落とした結果、ジャンル史上でも屈指の完成度に仕上がりました。

Megadeth『Rust in Peace』(1990)

1990年9月24日発売、Megadethの4thアルバム。「Holy Wars… The Punishment Due」「Hangar 18」「Tornado of Souls」など、テクニカルな速弾きとめまぐるしい曲展開が詰め込まれた作品です。デイヴ・ムステインを中心に、超絶技巧のギタリスト・ベーシストが揃ったこの時期のラインナップは「歴代最強編成」とも評されます。

速いだけでなく「弾ける人が聴いても唸る」精度の高さがあるので、ギターを弾く人ほど発見の多い一枚だと思います。

Anthrax『Among the Living』(1987)

1987年発売、Anthraxの3rdアルバム。「Among the Living」「Caught in a Mosh」「I Am the Law」「Indians」など、パンク由来のノリの良さとグルーヴ感が前面に出ているのが特徴です。他の3バンドと比べるとやや明るく、モッシュピット(ライブでのぶつかり合うダンス)を前提にしたようなキャッチーさがあります。

同じスラッシュメタルでも「暗く攻撃的」一辺倒ではなく、こういうノリの良さで魅せるバンドがいるというのは、このジャンルの懐の広さを物語っていると思います。

まとめ

スラッシュメタルは、イギリス発のNWOBHMとアメリカのハードコアパンクが合流し、サンフランシスコ・ベイエリアを中心に花開いたジャンルです。Metallica・Slayer・Megadeth・Anthraxという「Big 4」が、それぞれ違う方向性でこのジャンルを進化させてきたからこそ、今のスラッシュメタルには「様式美」「暴力性」「超絶技巧」「グルーヴ」という多様な魅力が同居しています。

今回紹介した4枚を聴き比べていくと、「速くて歪んでいるだけの音楽」というイメージだけでは括れない、スラッシュメタルというジャンルの幅の広さがきっと見えてくるはずです。まずは気になった1枚から、実際に聴いてみてください。

詳しいジャンルの成り立ちについては、ベイエリア・スラッシュメタルのWikipedia解説や、NWOBHMのWikipedia解説もあわせて参照すると、より理解が深まります。

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